障がいのある方と社会の関わり
障がいがあり大切に育てられているが故に、社会との関わりが少なくなってしまう方がいます。
特に知的障がいがある場合はご自身で意見を伝えることが難しいことが多いです。
大人になっても親の考えに全ての決定権があることも多く、法に触れるようなことでなければその意見は尊重されてしまうからだと思います。
もちろん、支援者が親に納得してもらうようにお話をする機会を設けますが納得されない場合の方が多いです。
今回は自宅と作業所の往復のみの生活をされていた50代の利用者さんが、初めてショッピングモールに行ってモスバーガーを食べた時のお話を綴っていきます。
よろしければ是非最後までお読みください。
毎日の生活
お母さんと二人暮らしの50代の男性、知的障がいがあり発語は無し。
意思表示として嬉しい時は笑顔になり、嫌な時はご自身の腕を噛んだり唾を吐いたりします。
私はヘルパーとして朝の起床介助の支援と夜の入浴の支援に入っていました。
日々の生活は朝は作業所に行き15時に帰宅。
自宅でゆっくりと過ごして、休みの日は1日自宅で過ごす生活スタイルです。
イライラしていることも多く、よく腕を噛んだり唾を吐かれています。
イライラの原因は分かりませんでした。
お母さんにヘルパーを利用して外出できることをお話をしても「必要無い」と言われていました。
急遽お母さんが入院
ある日、お母さんの体調が悪くなり急遽入院することになりました。
男性はショートで施設に入りました。しかし、お母さんが退院できるメドが立たないため、施設に入所することが決まり後見人さんも付きました。
環境も変わり「ストレスがあるかもしれないので外出をして気分転換をしてみましょう」となり移動支援を利用しての余暇の時間が確保されました。
まずはお母さんのお見舞へ。
まずはお母さんのお見舞いに行くことが決まり出発。
普段の知らない道や景色を見ながら少し不思議そうな表情で病院に到着。
面会するとお母さんはすごく痩せていて頑張られており、すごく嬉しそうなご様子。
色々とお話をされ、ご本人も楽しそうにされていました。
お母さんも外出することは問題なく受け入れてくれていました。
初めてのショッピングモールとモスバーガー
初めての余暇としての外出。どこに行くと楽しんでもらえるのかもわからないため、まずショッピングモールに行くことになりました。
バスと電車に乗り移動。電車に乗ると心地よいのかウトウトとしながら到着。
ショッピングモールに入るとキョロキョロとしています。
「人の多さにびっくりしているのかな?」と言いながらエスカレーターへ。
しかしエスカレーターには初めて乗るようで怖がって乗ろうとしません。
声かけをしながらゆっくりと足をエスカレーターに乗せてもらいました。
乗ってみると動く床に驚きの表情。
そんな表情も束の間で、降りる時はあたふたとされてヘルパーの腕を掴んで少し焦っています。
確かに初めてエスカレーターに乗るとびっくりしてこうなるかも知れませんね。
すぐに慣れたのか2・3回乗ると、エスカレーターの前で足ぶみをしながらご自身でタイミングを合わせて乗るようになり、笑顔で楽しそうにされていました。
フードコートで昼食
館内を少し散策した後はフードコートで昼食です。
きっとハンバーガーは食べたことがないのでは?とモスバーガーへ。
注文して初めてであろうハンバーガーを口に入れた瞬間、少し噛むと一度止まってハンバーガーを見ています。
あまり好きではなかったかな?と思っていると今まで見たことがない大きな口を開けると、ほとんど噛まずに飲み込む勢いで食べ始め一瞬で食べ終わりました。
すごく美味しかったようです。
その後ポテトもすぐに完食されて私も嬉しくなりました。
最後に少し館内を散策、終始笑顔で楽しそうにされて施設へ戻り初めての外出が終了しました。
皆さんはどう思われましたか?
世間一般では普通のことかも知れませんが、この利用者さんにとっては全てが初めての経験でした。
色々な考えがある中で色々な生き方もあるので正しいことは何なのかは分かりません。
生活の範囲を広げたり今まで経験していないことをしてみること、新しい出会いがあることはどんな人にも悪いことではないと私は考えています。
この利用者さんにとっては、ショッピングモールに行ってモスバーガーを食べたことは確実に良いことになったのではないかと思います。
障がいがあっても少しでもご自身の世界が広がる方が増えて生活が豊かになれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。


コメント